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車を売ったら「利益」になるの?車売却時の確定申告について

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通常、個人であれ法人であれ、物を売って利益を得た場合は、その利益を申告し、利益に対する所得税を支払わなければなりません。いわゆる確定申告の手続きがこれに当たります。

 

そして、確定申告をせず、つまり利益のあったことを告げずに、税金を支払わなかった場合は、「脱税」をしたことになってしまいます。これは、法人や個人事業主はもちろん、会社員や公務員も同様に手続きをしなければいけません。

 

では、車の場合はどうなるのでしょうか?車を査定し、ディーラーに下取りをしてもらったり、中古車販売店に売却をする行為は、「モノを売って利益を得る」行為に該当しないのでしょうか?もし該当するのであれば、私たちは車を売却した年の確定申告をする必要が出てきてしまいます。また、その申告方法についても理解しておかなければいけません。

 

そこでこちらの記事では、車を売却する場合の確定申告についてまとめてみたいと思います。

車の売却で得たお金は利益に該当するのか?

そもそも、車を売却してお金をもらった場合、それは利益に該当するのでしょうか?

 

結論からいうと、車を売って得た利益は、会計上の利益になり、確定申告の対象になります。逆に、売値がマイナスになった場合は、「売却損」として仕分けをすることもできます。

 

では、車を売った場合、何が利益になり、何が損になるのでしょうか。会計上の手続きについてもう少し掘り下げてみましょう。

売却損益の計算方法

個人・法人を問わず、車を売却した際の売却損益は、次のように計算されます。

 

売却損益 = 売却価格 – 帳簿価額

 

売却価格とは、文字通り車の売値のこと。そして帳簿価額とは、売却時の車の資産としての価値を表します。ここで問題となるのは、車の資産をどのようにして算出するのか、という点です。

 

たとえば600万円の車を購入した場合、たしかに購入した瞬間は600万円の価値がありました。では、売却時も、つまり帳簿価額も600万円なのかというと、そういうわけではありません。

 

車のような「固定資産」は、1年経つごとに、その価値が失われていくと考えられます。このように毎年資産の価値を減らしていくことを、「減価償却」といいます。そして普通自動車の場合は、法定耐用年数が6年と定められており、これはつまり、6年で価値が0になる、ということ。

 

ようするに、600万円で購入した車は、毎年600万円 ÷ 6=100万円ずつ価値が減っていき、6年後には0円になる、ということです。

 

そのため、もし5年後に売却した場合は、600万円の車の価値は600万円 – (100万円×5年)=100万円という計算になり、前述の帳簿価額は100万円ということになります。

 

そして、もし150万円で車を売却できた場合は、150万円 – 100万円 = 50万円の売却利益が出ることになるのです。

車を売却したときの仕訳

先ほどの例に引き続き、600万円で購入した車を売却した場合の仕訳について考えてみましょう。

 

まずは、600万円の車を購入から5年目に150万円で売却した例を挙げてみます。より現実の会計に沿うように、新車購入時に発生するリサイクル料(1万円)および売却手数料(11,000円)も含めて仕訳をしてみたいと思います。

借方

貸方

現金

1,500,000

車両運搬具

1,000,000

支払い手数料

11,000

保証金

10,000

   

固定資産売却費

501,000

借方の「現金」は売却額、「支払い手数料」は売却手数料のこと。貸方の「車両運搬具」は車の購入額から減価償却分を差し引いた額(つまり帳簿価額)、「保証金」はリサイクル料、そして「固定資産売却益」がいわゆる利益になります。

 

※ちなみに、リサイクル料は新車購入時に支払うものですが、売却をした場合は新たな購入者が支払うことになるため、売却時に返金されます。

 

今回の例では、501,000円の利益が発生したことになるので、確定申告をして、これに対する所得税を納めなければなりません。

 

先ほどお伝えしたように、利益が出ているにもかかわらず申告をしない場合は脱税に当たるため、注意するようにしましょう。

 

では、もし売却額が500,000円だった場合はどうなるのでしょうか。この場合の仕訳は次のようになります。

借方

貸方

現金

500,000

車両運搬具

1,000,000

支払い手数料

11,000

保証金

10,000

固定資産売却損

499,000

   

売却額が500,000円だった場合は、車の帳簿価額である1,000,000円を下回っているため、諸経費分を差し引いたとしても、499,000円分の損をしていることになります。

 

そのため、この場合には利益が発生しておらず、所得税の対象にならないため、法人や個人事業主でなければ、確定申告は不要になります。

 

実際に車を売却する場合は、会計上の「損」に当たることが多いようです。車を売却しているにもかかわらず、あまり確定申告について頭が回らないのは、このような背景が影響しているようですね。

 

ただ、普通自動車の対応年数は6年なので、6年を超えると自動的に価値が0になってしまいます。つまり、それ以上使用している車を売却すると、必然的に利益が発生するため、のちほど説明する控除分と比較し、確定申告が必要かどうかしっかりと確認するようにして下さい。

下取りしたときの仕訳

車を下取りに出すということは、先ほどのように車を売却する行為と同時に、車を購入することになります。そのため、仕訳も売却と購入を同時に処理することが少なくありません。

 

分かりやすくするために、まずは購入のみのケースについて考えてみましょう。

 

まず新車を購入する場合は、車自体の費用に加え、次のような諸費用が発生します。

  • 検査登録等手続き費用
  • 法定費用・預かり費用
  • 自動車税・取得税
  • 自賠責保険料等
  • リサイクル料

今回は、300万円の新車を購入したことにします。そして、諸経費は次のように発生するとします。

  • 検査登録等手続き費用(支払手数料)・・・100,000円
  • 法定費用・預かり費用(支払手数料)・・・10,000円
  • 自動車税・取得税(租税公課)・・・80,000円
  • 自賠責保険料等(保険料)・・・50,000円
  • リサイクル料(仮払金)・・・11,000円

では、仕訳を見てみましょう。

借方

貸方

車両運搬具

3,000,000

現金

3,251,000

支払手数料

110,000

   

租税公課

80,000

   

保険料

50,000

   

仮払金

11,000

   

それでは次に、下取りをした場合の仕訳を確認しましょう。もともと所有していた車(新車価格:600万円、売却時の減価償却累計額:500万円)を150万円で下取りに出し、300万円で新車を購入するとします。

借方

貸方

現金

1,500,000

現金

3,251,000

支払手数料

11,000

車両運搬具

1,000,000

車両運搬具

3,000,000

保証金

10,000

支払手数料

110,000

固定資産売却費

501,000

租税公課

80,000

   

保険料

50,000

   

仮払金

11,000

   

譲渡所得の控除額について

控除額は、法人と個人の場合で異なります。

 

法人の場合は、自動車の売却益・売却損を「特別利益」または「特別損失」として計上され、その他の利益と合算されます。法人の場合は控除額がなく、通常の利益と同様に法人税が課されます。

 

一方で個人(個人事業主)の場合、売却益は「譲渡所得」として会計上の処理をされます。さらに、車を所有してから売却するまでの期間に応じ、5年を超える場合は「総合長期」、5年以内の場合は「総合短期」として、それぞれ課税額が計算されます。

 

総合短期の場合

譲渡所得 = (売却価格 – 帳簿価額) – 特別控除50万円

 

総合長期の場合

譲渡所得 ={ (売却価格 – 帳簿価額) – 特別控除50万円} × ½

 

このように、少なくとも50万円までは控除されるため、比較的利益になる可能性は低くなります。そのため、一般的には確定申告が不要になるケースが多いようですね。

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